4月16日 ヘルシンキへ Artic Paradise LIVE 2009 初日

今年で3回目となる、Artic Paradise LIVE 2009 に参加。

FINNISH MUSIC INFORMATION CENTER の主催で開催されるショーケースです。
今年の参加メンバーは、ハンガリー、エストニア、スウェーデン、ドイツ、アメリカ、カナダ、ノルウェー、メキシコ、スペイン、イギリス、オーストリア、ロシア、デンマーク、ベルギー、セルビア、ルクセンブルグ、そして日本。 フェスの主催者や、プロモーター、ライター、コンサートホール関係者など様々。 全員がバスで、コンサートやライブ会場に移動し見学。 食事をしながら意見交換など、朝から夜中までスケジュールがビッシリでした。

初日。2アーティストのコンサート。

マリア・カラニエミ(Maria Kalaniemi)

世界的にも指折りの女性アコーディオンプレイヤーです。
しばらく活動を休止した時期もあったが、昨年より活動を再開。ステージに出ると女王の風格に圧倒されます。完全に肩の力が抜け切っている感じですが、音の立ち上がりや、音の粒のグラデーションがあまりにも美しい。 今回は、コントラバスのPEKKA LEHTIと共演で、ベースの低音を埋め尽くす事なく、センスの良いアレンジで美しく且つ アグレシブな演奏に魅了されました。 マリアはフィンランド語で歌も披露し、最初からレベルの高い内容に大満足です!

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フリッグ(Frigg)

次に登場したフリッグ。 フロントに5名のフィドル。 後ろにギター、コントラバス、マンドリン(バグパイプ他)の8名編成。 フィドルの中に‘紅一点’女性が1名。
この編成だと、何といってもビジュアルとしても華やかです。 若手とNo1と言われていますが、8年のキャリアがあり、4枚のアルバムをリリースし、 2007年には‘the Etno-Emma Award 2007’も受賞している実力派。 各国のプロモーターからも評価が高かったですね。

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個人的には、マリア・カラニエミの演奏が強く印象に残りました。
 

4月15日 フィンランド最北端‘ウツヨキ’へ

この日は、12月来日の ウッラ・ピルッティヤルヴィが、イナイのホテルに朝10:00に迎えに来てくれました。コンサートの写真は、かなり大きく見えたのですが小柄でビックリ。初対面とは思わせないくらい、自然に接してくれました。

ウッラの車で、(何度もエンストしながら・・)イナリエリアのサーメの工芸学校や、The Sámi Cultural Centreなどをガイド。

サーメの伝統工芸は素晴らしい! シルバーもそもひとつです。太陽や水、子供の健康など、シャーマニズム的な意味を込めたものが多く、身に付けているとパワーをもらえそうです。
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いよいよウッラの自宅がある、フィンランド最北端の町‘ウツヨキ’へ。 車で約1時間30分。
その間、ウッラが自然の話しやヨイクについての話が止まらない。広大な雪景色の中、1本の道を北へ北へ。大きな山が無く、針葉樹林がどこまでも続き、自然の偉大さを感じずにはいられません。 終始笑顔でおしゃべりをし、あっという間に 白い板壁の立派な家に到着。ウッラ邸。

玄関前には2台の車や、スノーモービル、トラクターなどがあり、家の中も北欧らしいナチュラルでお洒落な造り。 到着して直ぐに、ウッラはクローゼットからサーメのアクセサリーや、ステージで着る衣装、帽子など次から次と出してくれて、本当に楽しそうで、少女そのもの。
食事はご主人のヤリさんご自慢のトナカイのスープ。 臭みもなく、野菜と一緒にかなり煮込んであって、この旅の中で一番美味しい食事でした。

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ウッラは、シャーマンドラムを取り出し、私たちの為にヨイクを!
さっきまで話をしていたウッラとは、全く別人とも思える発声。
ウッラは、‘私はシャーマンではない’と言ってましたが、何か特別なもの感じてしまうのです。 奄美唄者の朝崎郁恵さんの唄を最初に生で聴いた時と似た衝撃でした。(後日、この時に収録したビデオをアップします)

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ヨイクの話は短く語れませんが、ヨイクは自分為には唄わず、誰かの為に唄うもの。
(正確には‘ヨイクを唄う’というのは 間違ってるそうで、ヨイキングと言ってました)
自分の子供や、一緒に来日する‘フローデのヨイク’なども アルバムに収録されています。
また今でもトナカイに‘悪いもの’が付かない様に、放牧場でもヨイクを唄っているそうです。

ラップランド地方は、ロシア、フィンランド、スウェーデン、ノルウェーにまたがっていて、この地図の様に、エリアによってサーミの部族が分類されています。 伝統的な衣装や言語も異なります。 各サーミが集まる議会も開催され、それぞれ互いの文化を尊重しあっています。
ウッラは[ウツヨキサーミ]、フローデは[南部サーミ]だそうです。

サーミマップ.jpg
 

4月14日 サーメ博物館 SIIDA

この地図は、フィンランド航空 機内誌‘Kiitos’からスキャンしたもの(勝手に)。
ヘルシンキに住んでいる人も、この地域まで来た事が少ない事、後で知りました。
日本だと、東京と稚内くらいの距離感なのかもしれません。

フィンランド地図.jpg

この日、SIIDA(サーメ博物館)に見学に。
残念ながら、館長さんがホリデーでスウェーデンに行っているそうで、お会いできませんでした。思っていた以上に近代的な展示で、世界の歴史とサーメの歴史を対比したり、ラップランドの自然の紹介があったりと、たっぷり2時間お勉強。
屋外では昔のサーメの暮らしを再現した住居などもあるが、まだ大雪で足場が相当悪いので、少しだけ見て退散。 静岡県の登呂遺跡跡の展示を思い出した・・・。

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関係ありませんが・・・SIIDA内の避難灯。
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イナリ湖では、昔から金の採掘が盛んで。ホテルでは、採掘者の写真が飾られていました。
英雄?!なのかな・・・。あまりリサーチできませんでした。

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4月13日 北極圏に到着

今回の出張は、スタッフと2名で1週間。
かなりのハードスケジュールですが、しっかり日本に“素敵なフィンランド”を持って帰りたいと思っています。

フィンランドの最北端の空港 イヴァロに到着。
さすが この季節でも綺麗な雪景色です。

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この写真は、ホテルの前の雪解け前の小川。
21:00現在の写真。 まだこんなに明るいです。
ホテルの方に 川には近づかない様…しっかり注意されました。 春の訪れを感じます。

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ホテルは、 ホテル・イナリ・クルタホヴィ Hotel Inarin Kultahovi
このホテルは、かなりおススメします。メールマガジンで、ラップランドの情報をお願いしたところ、偶然にもこのホテルに宿泊された方から‘お食事情報’を頂きました。『イナリ湖でとれた魚のお料理はフィンランドでいただいた中でもとりわけで美味でした。またラップランドのデザートで、焼チーズに甘いソースをかけたものがありますので、こちらもぜひご賞味ください。』・・・早速注文。初日より相当満足を味わいました。食が美味しいと、その土地がさらに好きになりますね。情報ありがとうございました!
(写真の食事は、2日分。決して贅沢三昧ではありません)

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個人的なハプニングですが・・・・部屋の鍵を開けるのに、かなりのコツが必要でした。
深夜0:00頃。‘もしかしたらオーロラが見れるかも’と、淡い期待を抱き パジャマにコートという超軽装でホテルの外へ。 全く見える気配なく 早々と部屋に戻ろうとしたのですが、部屋の鍵が開かず。 フロントで大声出しましたが、誰も常駐していない様で、2時間押したり引いたりした結果、力を抜いて回してようやくカチャと快音が聞けました。
もし ここに泊まられる事があれば、ご注意を!!!
 

2/22 ティト・キカス(エストニア) ライブレポート

 体が芯から冷えるような寒い二月の朝、彼のCDを車のオーディオへ入れて、キーを回した。静かに振動するエンジン音にそっと寄り添うかのように、冷たい風を一瞬肌に感じたが、それは気のせいで、細くしなやかなヴァイオリンの音が耳をかすめたのだった。
 ループしながら広がっていく音楽で車内が満たされていく。まるで深い森の中に誘い込まれていくようだ。この人はどんな景色を見て育ってきたのだろう。思わず目が離せなくなった風景はどんなものだろう。耳に集中していたはずが、いつの間にか目で聴いているような変な感覚に陥った。聴覚でなく視覚が刺激される。それが、ティト・キカスとの出会いだった。
 朝から雨の予報が出ていたその日、ティト・キカスはたくさんの機材を抱えて新幹線を降りてきた。初来日、昨晩東京公演を終えたばかりの彼は、今日は川西市にあるギャラリーHANAREで、アイリッシュフィドラー功刀丈弘とのダブルコンサート。機材搬入を終えて一息ついてから、ようやく挨拶を交わす。初対面のミュージシャンと交わす挨拶は、初めてセッションする時のような心地よい緊張感がある。その音楽を知っている時は、特にそう。「ああ、丁寧に生きている感じのする人だな。」彼の静かな話し方や心のある笑顔に接して、そう感じた。
 今回のコンサートの情報を聞いた時、これは面白そうだ、とワクワクする気持ちになったのは、功刀丈弘とのダブルコンサートであった点。日本を代表するアイリッシュ・フィドラー功刀丈弘、ギターのげんた、パーカッションの田中良太のトリオ。彼らのステージは一度聴いたら体に刻まれるような圧倒的な力がある。そして、その力強さと同じくらいの繊細さで、心をつかまれる。3人の温度の高い演奏は、エレクトリック・ヴァイオリン一本でギターやパーカッションなどの色々な楽器を表現しながら、その場で録音し、音を重ねていくティト・キカスのスタイルとは対極にあるような印象を受ける。ティト・キカスと功刀丈弘、ふたりのフィドルはどんな風にぶつかり合い、絡み合うのだろう。
 既に雨も本降りとなった夜19時、開演した。前半はティト・キカスのステージ。築200年の日本家屋を改装したというギャラリーの白壁に映像が映し出される。ティトのシンプルなヴァイオリンからはどんどん音が溢れ出し、映像と呼応し合う。こういうスタイルの音楽を初めて聴く人が多かったのではないかと思うが、ギャラリーいっぱいにティトの音楽が広がり、観客が自然に包みこまれていくようだったのは、ティトの内から湧き出るメロディーの美しさ、温かさのせいだろう。私は、あの寒い朝に車内に広がった森の空気を再び感じ、息を深く吸い込んだ。
 後半、功刀丈弘トリオのステージでは、馴染みのあるアイリッシュチューンが美しく、激しく体に響き、観客からは爽快な笑顔が見られた。ミュージシャンと観客が一体となる、誰も孤独な気持ちにはさせない、彼らの演奏には、そういう愛情が溢れている。
 アンコールは、それはもう本当に見事だった。フィドラー二人はまるでやんちゃな男の子のように、フィドルを鳴らす。ティトも本当に楽しそうな笑顔。アイリッシュチューン3曲をたっぷり聴いても、まだまだ「もっと聴きたい!」と思わせられた。

織田優子 Yuko Oda

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