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ROOTS-台湾の風、魂の響き

祈りと記憶を歌い継ぐ、台湾の原住民パイワン族

<Sukai lja / TBT>

​スケジュール Schedule

<Sinisanparavac / サウヤーリ>

■関西公演 (1公演のみ開催予定)
❖日にち : 2026年11月7日(土)
※情報解禁までお待ちください。

 協力:WIND MUSIC (台湾) 

<音楽と文化が色濃く受け継がれる、パイワン族>

 

台湾には現在、政府が認定する16の原住民族が暮らし、人口は約63万人、台湾全体の約2.7%を占める。数千年にわたり、それぞれ独自の言語や文化を育み、豊かな伝統を受け継いできた。

パイワン族は、アミ族に次ぐ第2の人口規模を持つ先住民族。台湾南部の山岳地帯から恒春半島にかけて暮らし、独自の言語、祭祀、工芸、そして歌文化を今も大切に守り続けている。

パイワン族にとって歌は、娯楽ではなく、祖先の記憶や歴史、祈りや感謝の心を次世代へ伝える大切な文化遺産である。多くの歌は文字ではなく口承によって受け継がれ、長老から若い世代へと歌い継がれてきた。

近年、台湾先住民族文化は世界のワールドミュージック界からも高い注目を集めている。なかでもパイワン族は、豊かな伝統歌謡や独特の多声音楽(ポリフォニー)、そして現代へ受け継がれる強い文化的アイデンティティによって高く評価されている。

今回紹介するアーティストは、こうしたパイワン族の歌文化と精神性を現代の音楽として表現し、台湾から世界へ発信している。伝統と革新が響き合うその音楽は、台湾先住民族文化の奥深い魅力へと誘ってくれる。

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TBT(Taiwu Ballads Troupe/泰武古謠傳唱)

「祖先の記憶を歌う、天空のハーモニー」

台湾先住民族パイワン族の祖先から受け継がれてきた伝統歌謡を歌い継ぐヴォーカル・アンサンブル。活動の始まりは2000年代初頭。パイワン族出身の教師であり文化継承者でもあったカマケ・ヴァラウレ(Camake Valaule)が、台湾南部・屏東県の泰武小学校で子どもたちとともに失われつつあった祖先の歌を学び始めたことをきっかけに誕生。
パイワン族の伝統歌謡は、文字ではなく長老から若い世代へ口承によって受け継がれてきた。カマケ氏は各地の部落を訪ね歩き、長老たちから歌を学び、録音し、その歌を子どもたちへ伝承した。こうして受け継がれた歌は約100曲に及ぶ。
TBTの最大の特徴は、複数の声が重なり合うパイワン族独特の多声音楽(ポリフォニー)にある。楽器に頼らず、人の声だけで紡がれる豊かな響きは高く評価され、「山の姿が見え、風の音が聞こえるような歌声」と称されている。
2011年にはNHKの国際音楽ドキュメンタリー番組「Amazing Voice」で紹介され、世界の視聴者投票によるトップ5に選出された。この放送をきっかけに日本でも広く知られるようになった。
2012年にはアルバム『Where The Songs Begin(歌開始的地方)』で台湾最大の音楽賞である金曲奨(Golden Melody Awards)を受賞。さらにグラミー賞受賞歴を持つハワイの日系アメリカ人音楽家ダニエル・ホー(Daniel Ho)との共作『To & From the Heart(歌・飛過群山)』でも金曲奨を受賞した。
これまでにオーストラリアのWOMADelaide、ニュージーランドのWOMAD、マレーシアのRainforest World Music Festivalなど世界的な音楽祭に出演。アメリカ、ドイツ、フランスをはじめ世界各地で公演を行い、台湾先住民族音楽を国際舞台へ紹介してきた。
2021年に創設者カマケ氏が逝去した後も活動を継続。2026年には14年ぶりとなる新作『Kivaljuq – Songs in Full Bloom』を発表し、パイワン族の祖先から受け継がれてきた伝統歌謡を次世代へ伝え続けている。

 

サウヤーリ(Sauljaljui/戴曉君)

「国境なき野生、世界が注目する原住民シンガー」

 

台湾南部に暮らす先住民族パイワン族出身のシンガーソングライター。パイワン族の伝統歌謡や、台湾最南端・恒春地方に伝わる恒春民謡をルーツとしながら、月琴(ユエチン)と呼ばれる伝統の弦楽器を自在に操り、太古の響きと現代的な感性を融合させた独自の音楽世界を築いてきた。
恒春民謡は、台湾南部の人々が恋愛や人生、日々の暮らしへの想いを即興的に歌い継いできた伝統音楽である。サウヤーリの音楽は、そうした土地に根ざした歌文化と、パイワン族の祖先から受け継がれた旋律や言葉を大切にしながら発展してきた。伝統を忠実に再現するだけではなく、自由で創造的な感性によって現代の音楽として鮮やかによみがえらせている点が大きな魅力。
2016年に発表したデビューアルバム『Tracing the River of Life(順著河流走)』は、台湾最大の音楽賞「金曲奨(Golden Melody Awards)」およびインディーズ音楽賞「金音創作奨(Golden Indie Music Awards)」で計5部門にノミネートされ、台湾音楽界に鮮烈な印象を残した。続く2019年のアルバム『INSIDE REVEALED(裡面的外面)』は、金曲奨の最優秀原住民語アルバム賞にノミネートされ、台湾先住民族音楽の新たな表現者として高い評価を獲得した。
2024年に発表したアルバム『VAIVAIK 尋走』によって、その評価は国際的なものとなる。同作はパイワン族の文化や土地の記憶を現代的なサウンドと融合させた意欲作として高く評価され、2025年のGlobal Music Awardsではワールドミュージック部門ゴールド・アワードを受賞。さらに「台湾のグラミー賞」とも呼ばれる第36回金曲奨では最優秀原住民語アルバム賞と最優秀編曲賞を受賞し、第16回金音創作奨では最優秀フォークアルバム賞と最優秀ミュージシャン賞を受賞するなど、台湾を代表するアーティストの一人として確固たる地位を築いた。
その活動は音楽制作だけに留まらない。アジア、北米、ヨーロッパ、オセアニアの主要フェスティバルや国際ショーケースに招聘され、台湾先住民族文化の魅力を世界へ発信し続けている。またテレビ番組の司会者としても活躍し、2025年には音楽番組『The First Row of the Rock Zone』で、台湾のテレビ界最高峰の賞であるテレビ金鐘奨(Golden Bell Awards)の司会者部門にノミネートされた。
さらに部族の祭りや地域コミュニティの文化事業を数多く企画・運営し、音楽家としてだけでなく文化継承者としても重要な役割を担っている。祖先から受け継がれた歌を未来へつなぎ、伝統と現代を結ぶ表現者として、台湾先住民族音楽の新たな可能性を切り拓き続けている。

 

ディスコグラフィー  Discography

<TBT Information>
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<サウヤーリ Information>

VAIVAIK 尋走 / Sauljaljui (2024)

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1. Dipin Kari Tang「麵包 咖哩 刺蝟」(feat. 泰武古謠傳唱)
2. vaivaik 「尋走」
3. sinisanparavac「你是無比耀眼的」(guest: Emlyn)
4. sapuy「火把」
5. mesaceqalj「心懷舒暢」
6. tjualayu「加拉悠山」
7. Anun Bala「你好」(guest: Alena Murang)
8. mapeljuq a zian「豐之舞」
9. madjadjumak「彼此找到」(guest: Putad Pihay & Sra·Rata)
10. Dipin Kari Tang [Indus Remix]  (guest: Indus [percussion])

最新作『VAIVAIK』は、パイワン語で“自分の道を探す”を意味する言葉を冠した、彼女の精神的な旅路を描くアルバム。前作から5年間に蓄えた深いエネルギーを、故郷とルーツへの愛とともに音へ昇華し、パイワン族の伝統歌と現代的なサウンドを鮮やかに結びつけた。
本作の中心となるのは、伝統楽器・月琴(Yueqin)の革新的な使い方。旋律を奏でる弦楽器としてではなく、打楽器のようにリズムを刻むことで、力強く躍動するビートを生み出し、ポップ、ラテン、レゲエ、フォーク、R&B といった多彩なジャンルを軽やかに横断する独自のグルーヴを確立している。リード曲「VAIVAIK」は、その革新性と彼女の表現力を象徴する一曲で、伝統の響きをグローバルなリズムと融合し、幅広いリスナーを魅了する。
作品は発表後すぐに高く評価され、国際音楽賞での受賞や、台湾の主要音楽賞で複数部門の受賞・ノミネートを果たすなど、その完成度と独創性は国内外で認められた。革新、個と伝統、民族と世界をしなやかに結び、新たな代表作として輝く一枚となっている。

Kivaljuq(Metamorphosis) / Taiwu Ballads Troupe (2026)

1. Sukai lja
2. Luljemai (feat. Puljetji Ancient Ballads Troupe)
3. Ljaleselem
4. Dradramadju
5. Unanasi
6. Tja kinemas a vecik
7. Sinsing (feat. Alex Wu)
8. Nalivan (feat. Tuni Sundatang)
9. Semulu (feat. Sauniaw Tjuveljevelj)
10. Nu salingulj a senasenay

最新作『Kivaljuq(Metamorphosis)』は、パイワン語で「変容」を意味するタイトルを冠したアルバム。幼い頃から創設者カマケ・ヴァラウレに古謡を学んできた5人の女性シンガーが、伝統の継承者から新たな表現者へと成長していく歩みを描いている。本作では、パイワン族に受け継がれる恋歌、儀礼歌、叙情歌、祝祭歌など10曲を、台湾金曲奨受賞プロデューサー Wu Judy Chin-tai(吳金黛) が現代的なワールドミュージックへと再構築。古来の多声音楽(ポリフォニー)を軸に、新たなハーモニーや豊かなリズムを取り入れ、祖先から受け継がれた歌に新たな生命を吹き込んでいる。アルバムには、マレーシア・サバ州の先住民族バンド Tuni Sundatang や、パイワン族を代表する鼻笛奏者 Sauniaw Tjuveljevelj らも参加。台湾先住民族とオーストロネシア世界を結ぶ文化的なつながりも表現されている。10年以上にわたり世界各地でパイワン族の古謡を歌い続けてきたTaiwu Ballads Troupeが、祖先から受け継いだ歌を未来へ咲かせる新たな一歩となる作品。伝統の継承と革新、その両方を体現した2026年の代表作である。

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