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「ポルスカがつないだ系譜」
 マグヌスとスウェーデン音楽の現在

スウェーデンの伝統音楽で最も知られている舞曲に “ポルスカ”がある。それは同国の村々の奏者によって作曲され続け、数え切れないほどの様々なヴァリエーションが産み落とされていった。はじめの頃は、ヴァイオリンの独奏に始まり、後にメロディとハーモニーに分かれた同楽器のデュオで奏でられるようになり、更にその演奏は発展を続けていった。 
1970年代中頃、同国フォーク・シーンは急変した。ポルスカの演奏に様々な楽器を組み合わせ、様々なアレンジが施されてゆく。この時期、伝統音楽はバンド・スタイルで演奏され始めていった。筆者が注目したバンドのひとつに“グルーパ”があり、歴史を辿ってゆくと、その前身が、“インゲル、レイフ&マッツ”なるトリオだった。マグヌスの母はそのインゲル、父はレイフである。つまりマグヌスは子供の頃から、こうした音楽シーンの身近で育ったわけだ。 
時は2003年の冬。筆者が同国フォーク・フェスに出向いた時、マグヌスが当時、情熱を注いでいたバンド“ハルヴ”の洗練されたスリリングな演奏を楽しむ事が出来た。更にマグヌスはこの演奏の前に、アンデシュ・ニーゴーツとヴァイオリン・デュオでも出演している。それは洗練されたハルヴの楽曲とは真逆で、同国の伝統を守るともいうべきポルスカの忠実な演奏だった。しかもマグヌスはジミ・ヘンドリックスのTシャツを着ており、その伝統的な演奏とのギャップがあまりにも印象的だった事を思い出す。その当時のマグヌスは若干25、6歳の若さである。 
その後、マグヌスは、現代北欧フォーク・シーンの第一人者であるアレ・メッレルのバンドへの参加だった。ちなみにこのバンド・リーダーのアレ・メッレルはマグヌスの父母とほぼ同世代である。筆者は、このバンドの来日公演を観た時、アレ・メッレルの次世代で「同音楽シーンを牽引するのはマグヌスだ!」と、そう確信した事を今でも思い出す。 
マグヌス在住の地ヴェルムランドには、同国の伝統音楽、演劇、ダンスを融合させた芸術文化を発信する“ヴェスタノー劇場”がある。マグヌスはこの劇場における音楽部門の責任者として、パートナーでもあるオーケストラ・リーダーのソフィア・スティンネルボムと共に、この劇場に関わり、深く情熱を注ぎ続けている。今、マグヌスは演奏家、作曲家、編曲家として、充実した活動を繰り広げており、それはこれまでの音楽キャリアの集大成であると言ってもよさそうである。
浜島 広樹 Hiroki Hamajima
スウェディッシュ・フォーク音楽愛好家
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